どうしようか。 誰も居ない教室(もう放課後だからだ)の中 は一枚の紙切れを手にし、眉を潜めていた。 [この手紙は呪われています。3日以内に貴方の大切な人にこの手紙を出さなけれ ば、あなたは呪われてしまいます。 このまま捨てた場合は………] 内容は不気味な文で切れていた。 「…なんつーベタな。」 いわゆる呪いの手紙である。 自身、こんなものは信じていない。 このまま捨てた場合は…、だなんて書かれてはいるが 特に問題はないだろう。 (イヴァンとかが大元だったら怖いけども…) と、一瞬身震いした。 しかし、それはないだろうという結論に至り、は 紙をクシャクシャに丸めると、ゴミ箱へ放り投げた。 だが惜しくも手紙はゴミ箱の縁に当たり、床へポトリと落ちた。 「あー…」 気が抜けたような声を発する。 そして何故か、手紙の内容が頭にちらついた。 『貴方の大切な人に――……』 「大切な人、ねぇ…」 一瞬、脳裏に浮かんだ人物がいたが、まずムリだろう。 (信じないわね、なんせ堅物だもんだから…) 何考えてんだか、と首を振った。 そして紙切れを拾わずに教室を後にしようと席を離れると 人とぶつかりそうになった。 「ゴミを放るのは、あまり感心しないであるな。」 「あっ」 いつの間に教室に、と言いかけたが 言葉が穴の開いた風船のように抜けて行ってしまう。 辛うじて「バッシュ、」と呟いただけだった。 彼は何も応えず、の横を通り抜けると 紙切れを拾い上げて、広げた。 そして、顔を上げるとこちらに差し出した。 「そういえばリヒから、この手紙を受け取った事がある」 「え?…あ、あー……そうなの?」 なんとなく返事をし、バッシュの手から紙を受け取った。 「大切な人に渡さねばならんだのと書いてあったな、確か」 「そーだよ。…でも信じてるわけじゃないでしょ?」 「まさか。吾輩が信じるわけがないだろう」とバッシュが軽く笑みを浮かべる。 それを何故かまともに見れず、は俯いた。 すると彼は、こちらを覗きこむ。その顔は、いつものしかめっ面だった。 「…鈍感な奴である」 「はい?」 が顔を上げると、バッシュは勝ち誇ったように、笑っている。 「吾輩は、『その手紙』をに手渡したのだ。…気持ちぐらい汲んでもらおうか ?」 「何言っ…あ!…えぇーそれって…信じないんじゃなかったの…?」 「知らん。」 そんなのナシだよ、とはまた俯いた。 勿論、失望したからでなく、顔が熱くって仕方が無かったからだった そしてバッシュが口を開いた。 「それで、どうなのだ?」 と言うものだから、はまた手紙をバッシュに手渡した。すると その腕は彼の手に掴まれ、体を引き寄せられ、そのままキスされた |
++++ これで青春出来たか分かりませんが、 素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました! |