WW学園、卒業式。



そう書かれた看板が立てかけてある校門を特になんとも思わずにすり抜ける。
卒業式、か。
実感ないなぁ…。
ずっと一緒だった仲間と離れるなんてきっと実際ないと分らない。
そんなことを思いながら私は最後になるだろう学校の廊下を歩いていた。

入学した頃、さっそく迷ってアーサーに助けられたな…。
アルフレッドが途中で乱入してきてこんなんで大丈夫かな、と思ったけど。

長い廊下を堪能した後、私は深呼吸をし重いドアを押した。















するともう(まだ30分前だぞ)教室は見覚えのある顔で埋まっていた。

ちょっとビックリしてドアの近くで固まっているとドンッと誰かにタックルを喰らった。
い、痛いよ。今のは…。

「ヴェー!ー!!俺と離れるなんて嫌だよー!もっと皆と居たいよー!!!!」

ぶつかってきたのは半泣き、というか完全に泣いているフェリ。
蜂蜜色の目に涙を溜め私を見上げる。

そっか、もうフェリの見慣れた泣き顔にも

「フェリシアーノ!!!!」
「フェリシアーノ君、が驚いてますよ。」

いつも通り、ルートと菊がフェリを注意するのも

「いいなぁ、俺もフェリちゃんみたいに抱きついてこようかなあ…」
「いや、俺が行くね!お兄さんの愛をこのフィナーレに素晴らしく伝えてあげよう!」
この変態2人に悩まされることも

「ギルベルトー!ローデリヒさんの大事なところ早く返しなさい!」
「はんっ嫌だね!だってそう思うよな!?」
ちゃんを巻き込むなー!!!」
エリザ姉にギルが殴られるところを見るのも

「全く、あの人たちは…。」
「落ち着きがないのである!」
「貴方が言いますか。」
「何を!貴様、そこへ直れ!!!」
ローデリヒさんとバッシュの喧騒を聞くのも

「アーサー、マシューが何処へ行ったかしらないかい?」
「知らねぇよ!お前、最後の日ぐらい物食いながら話すのやめろ、ばかぁ!」
「僕ここにいますよー…」
アルフレッドのお気楽なテンションに悩まされるのも
アーサーのツンデレを見るのも
マシューを見つけようゲームができるのも







もう、今日が最後なんだ。







そんなことを思った瞬間、本当にいろいろな思い出が私の中を駆け巡った。






あ、ヤバイ。



『泣きそう』



ぼろぼろと溢れ落ちた透明な雫は私の頬を確かにぬらしていて。
この時初めてクラス全員が同じ場所を見て同じ顔をした。

その視線は私に集中していた。

3秒ほど時間が止まった後、一番最初に口を開いたのはエリザ姉だった。

ちゃん、泣かないで!もうギルが泣かすから!」
「泣かせてねえよ!ほら、泣くな!」
「明日は雨あるな」
「あはは、僕もその意見には同意だよ」
「ちょっとイヴァンさん達、に失礼です!」
「全くだ」
「ほら、お兄さんの胸に飛び込んでおいで!」
「いやココは俺やろ!」
「変態の胸に飛び込むくらいなら俺のとこに来いよコノヤロー」
「兄ちゃん、は野郎じゃないよ!」
「お前ら、落ち着くのである!そこはハンカチを差し出すところであろう!」
「全く、こんなところで大泣きするものではありませんよ。お馬鹿さんが」



わっとわたしの周りに集まって声をかけてくれる仲間達。
本当に皆優しいな・・・。




皆に、最後に伝える言葉はコレだけしかない。




















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ありがとう    



































H21/6.7/huziyosi yuu
企画「青春!」様提出