この学園にはものすごいアイドルがいる
人気で美人で可愛くて可憐で、ほんっとにすごい奴
いっつも周りには沢山の人がおって、
みんなが憧れていたりする
男子の中ではアイドルが好きな奴がいっぱいおる
やっぱりアイドルというからにはモテるわけで、
嫌ってる女子も多いらしい、が
あんなに可愛いのに、どこに嫌う要素があるのか分からん!
そんで、そのアイドルが俺も好き


「せんせー」

「どうした、アントーニョ」

「頭、痛いんよー・・・」

「・・・本当か?」

「うわ、何疑ってんの?酷いなあ・・・ホンマやのに・・・」

「わかったわかった、早退していいぞ」

「さよならー」


担任に許可を得て、鞄を持ち教室を出る
でも俺が向かったのは校門ではなく屋上へ続く階段
もちろん頭が痛い、なんてのはただの嘘
屋上にいきたかったん、なんでか
屋上への階段を静かに上って扉を開ける
青い空がキラキラしていた
気持ちええ風が吹いている
静かにドアを閉めて空を見上げる
雲がいっぱいに広がっていて
青がいっぱいに広がっていて
きてよかった、と思う
きっと後でロヴィーノに怒られるんやろうけど、
今ならそれでいいかな、と思う

寝転がって空を見上げていたら
ヒラヒラとスカートが風に吹かれているのが見えた
なんだ、女子がいるのか?
俺と同じサボり?
・・・誰やろ?


「誰かそこに、おるん?」

「んー・・・?」

「え?」


その声はまさにこの学園のアイドル、
のものだった
なんで・・・こんなところにおるん?


「あー・・・あれ?寝てたのかあたし・・・あんた、アントーニョ、だっけ?」

「名前知ってるん!ってあんた・・・か・・・?」

「うん、そうそう、アイドルです!って見つかっちゃったねえ・・・」


うーん、困った
と声を上げるアイドル、
見つかった・・・って、この学園のアイドルが
なんでこんなところにおるん?
足を広げていてスカートは短いし、制服出てるし、
なんやのこの子!


「なんで・・・こんなところにおるん?」

「いちゃ悪い?空が、綺麗だったから。あんたと一緒サボリだよ」

「なんで・・・」

「アイドルって言われてるけどさ、そんな勝手に言われてるだけだし。あたしそんなキャラじゃないのよね・・・ホントまじで疲れるのよ、毎日毎日」


いきなりグチグチ言い出したアイドル・・・
あれ、アイドルじゃないほうがええんか?


「でも知らんかった。まさかアイドルやっとる子がこんな子やったなんて」

「何、あんたもあたしに惚れてるの?」

「うん」

「じゃあ、あたしがこんなのって知って絶望した?」

「ううん、ますます好きになったわ」

「・・・ありがと、あたしもあんたのこと、好きだよ」

「え?」












青春!提出作品 お題はてぃんがぁらさんから!
ありがとうございました。  波執維織